携帯型GPS地図端末 トレッカーブリーズ はじめてガイド 有限会社エクストラ 2011年12月 1章 はじめに このたびはトレッカーブリーズ(以下ブリーズと記載します)をご購入いただきありがとうございます。ブリーズは視覚障害者向けに開発されたGPS地図情報端末です。ブリーズを活用して各種地図情報を得ることができます。使用者様の外出がより楽しいものになることを願っています。 本書では、ブリーズの基本的な使用方法を簡単にご紹介します。詳しい情報は別紙のマニュアルをご参照ください。 ブリーズをご利用になる前に必ず本書をご確認ください。 免責事項 ブリーズはあくまで歩行中に道路情報を取得するための補助的な情報端末です。またブリーズが提供する情報が正しいという保証はありません。したがって視覚障害者に安全で確かな歩行を保証するものではありません。ブリーズを使用する際は周囲の状況によく注意して、白杖や盲導犬を同時に利用し、自分の判断で歩行してください。万一ブリーズを使用中に事故や傷害にあったとしても弊社は一切責任を負いません。 2章 内容物一覧 ブリーズをご購入いただきましたら、まず内容物をご確認ください。 万が一、不足しているものがございましたらご購入された販売店または有限会社エクストラへお問い合わせください。 1. ブリーズ本体(4GBのSDカードが挿入されています) 2. レザーケース 3. ショルダーストラップ 4. クリップ付き外付けスピーカー 5. ACアダプタ 6. USBケーブル 7. ハンドストラップ 8. はじめてガイド墨字版 9. ユーザマニュアル墨字版 10. 墨字ユーザ登録カード 11. 点字ユーザ登録カード 12. 点字ユーザ登録カード、返信用封筒 13. 音声版はじめてガイドCD 14. 音声版ユーザマニュアルCD 3章 ブリーズの外観と各部の名称 ブリーズの主要なボタンと機能は次の通りです。本体を正面に持った際、丸みのある方向がブリーズの上部となります。 3-1 本体左側面 3-1-1 音量ダイヤル 左側面の上部に音量ダイヤルがあります。ダイヤルを回し音量調節します。ダイヤルを上に回すと音声が大きくなり、下に回すと小さくなります。 3-1-2 SDカードスロットとミニUSBポート 左側面の下部にSDカードスロットとミニUSBポートがあります。保護用のカバーが付いています。カバーを開けるには、カバーの突起の手前側に爪をかけ、奥にめくりあげるようにして開けます。 ミニUSBポートはテクニカルサポート用です、使用しないでください。 充電には使用できません。 SDカードを取り出す場合は、保護用のカバーを外してSDカードの中央を軽く押してください。 3-2 本体右側面 3-2-1 電源スイッチ 右側面の上部に電源スイッチがあります。上に押し上げると本体の電源が入り下に引くと電源が切れます。 3-2-2 リセットボタン 電源スイッチの下部にはリセットボタンがあります。システムがフリーズしたり動作に異常がある場合に使用してください。リセットボタンを押すとブリーズが再起動します。 3-2-3 ACアダプタジャック 右側面の下部にACアダプタジャックがあります。保護用のカバーが付いています。 3-3 本体下部 3-3-1 ストラップ取り付け口 本体下部にストラップ取り付け口があります。 3-4 本体上部 3-4-1 イヤホンジャック 本体上部中央にイヤホンジャック があります。 3-5 本体表面上部 3-5-1 マイク 本体表面の左上にある3本の溝がマイク部分です。ルートやランドマークの名前を録音する際に使用します。 3-5-2 スピーカー 本体表面の右上にある3本の溝がスピーカー部分です。外付けスピーカーを使用しない場合はここからメッセージが流れます。 3-6 表面上段 表面の上段には3つのボタンがあり、各種情報を確認したい場合に使用します。 3-6-1 現在位置ボタン 上段中央に位置する大きな丸いオレンジ色のボタンです。このボタンを押すと現在位置に関する各種情報が読み上げられます。 現在位置ボタンを長押しすると、付近の施設を検索しリストで表示します。リスト内の移動には矢印ボタンを使用してください。 3-6-2 情報ボタン 情報ボタンは現在位置ボタンの左側にあります。このボタンを押すとGPSの状態、歩いた距離などの情報が読み上げられます。3種類の情報があり、左右矢印ボタンで選択できます。 情報ボタンを長押しすると7種類のシステム設定を行うことができます。左右矢印ボタンでメニューを選択し、確定ボタンで設定項目を実行します。 3-6-3 リピートボタン リピートボタンは現在位置ボタンの右側にあります。このボタンを押すと直前に読み上げたメッセージを再度読み上げます。 リピートボタンを長押しするとキー説明モードになります。このモードで各ボタンを押すとそれぞれに割り当てられた機能が読み上げられます。 3-7 表面中段 表面の中段には左右矢印ボタンと確定ボタンがあります。 3-7-1 左右矢印ボタン 左右の矢印ボタンは確定ボタンの両側にあるオレンジ色の三角ボタンです。リスト項目の選択に使用します。 3-7-2 確定ボタン 確定ボタン は左右矢印ボタンの間にある小さな黒い丸ボタンです。 押すと選択を確定します。 3-8 表面下段 表面の下段には3つのボタンが円状に並んでいます。記録、探索、ルート選択などの操作に使用します。 3-8-1 記録ボタン 記録ボタンは下段中央のアーモンド型のボタンです。3つのボタンのうち12時の位置で、確定ボタンの下にあります。 このボタンを押すとランドマークの録音が始まります。録音時間は4秒間です。 記録ボタンを長押しすると、ルート作成を開始し、ルート名の録音を行います。録音時間は4秒間です。 3-8-2 探索ボタン    探索ボタン は下段左側のボタンです。 このボタンを押すと実行中の機能を終了して探索モードに戻ります。 探索ボタンを長押しすると、それまで案内してきたルートを逆に案内して出発地点へ戻るルートの案内を開始します。 3-8-3 選択ボタン 選択ボタン は下段右側のボタンです。記録済みルートの案内を開始する場合に使用します。 選択ボタンを長押しするとランドマークへの案内を開始します。目的地として設定可能なランドマーク一覧が読み上げられます。 4章 充電 ブリーズは5時間の充電で最大8時間使用可能です。ただし次の場合、使用時間は少なくなります。 1. 充電が5時間未満の場合 2. 音量が大きい場合 3. 約400回充電を繰り返すとバッテリー容量が徐々に減少します。 充電残量が非常に少ない場合ブリーズは「充電残量がありません」と読み上げます。しばらく充電を行ってください。 ※充電中はバッテリーが熱を持ちます。 ※ブリーズのシリアル番号はバッテリースロットの内部に記載されています。 ※バッテリーをセットした場合やACアダプタを接続した際はビープ音が鳴ります。 5章 ブリーズの持ち歩き方 ブリーズを持ち歩く際は必ずストラップをつけてください。万が一、ブリーズが落下した際に故障の原因となります。また、ストラップを使用することで歩く際に両手を空けることができます。 ブリーズには手首に掛けるハンドストラップ(図1)首に掛けて使用するショルダーストラップ(図2)が同梱されています。ショルダーストラップを使用する場合は付属のケースをご利用ください。 付属のケースにはベルトクリップも付いていますのでベルトにブリーズを取り付けることができます。 6章 ブリーズの起動と探索モード ブリーズの起動方法と探索モードについて説明します。 事前にブリーズを5時間以上充電しておいてください。 まず、ブリーズを持って屋外へ出てください。屋根のある場所や高層建築物が近くにある場所ではGPS情報を受信できない場合がありますのでご注意ください。 1. ブリーズ右側面の電源スイッチを、上にスライドさせてください。 電源が入ります。電源が入ると最初にビープ音が鳴り、電源が入ったことを伝えます。 2. その後、15秒ほどで「ブリーズを起動中、充電レベル・・・」と読み上げブリーズが起動します。 3. 起動後、「衛星を探しています。」と読み上げGPS衛星からの信号を受信します。 4. GPS衛星からの電波を受信できれば、低いビープ音が数回鳴ります。 5. その後、現在地点の住所を案内し、「現在位置を確認しました。」と読み上げます。 この状態を探索モードと呼びます。 探索モードはブリーズの基本モードです。 特に操作をしなくても、ブリーズを持って歩くだけで、近辺の情報を自動的に読み上げます。 読み上げる情報は現在地の道路情報や半径10メートル以内にある施設名、ご自分で登録したランドマーク名、近辺の交差点情報です。 他の機能を実行した場合でも、本体下部、左下の探索ボタンを短く押すと探索モードに戻ります。 探索モード使用例 ブリーズが現在地点を確認している状態で、ブリーズを持って歩くだけで探索モードを楽しむことができます。 探索モードの表示例を紹介します。 ここでは、「有限会社エクストラ」の前から「静岡県立大学」まで歩いた場合の探索モードの流れを紹介します。 1. ブリーズの電源を入れる 電源を入れて、15秒ほどたつとブリーズが「ブリーズを起動します。充電レベル・・・」と読み上げて起動します。続いて、「衛星を探しています。」と読み上げます。起動した場所の状況によって、衛星の検索にかかる時間は変化します。 衛星を受信できない場合は、「衛星を受信できません。」と読み上げます。 2. 現在地点の確認 衛星の検索に成功するとブリーズは「谷田44の15付近の道路、現在位置を確認しました。」と読み上げ、探索モードを開始します。 ※ 住所の読み上げは町名以下を読み上げます。 3. 歩行中の探索モード 静岡県立大学に向かって歩き出します。 すぐにブリーズは「エクストラ。」とランドマーク情報を読み上げます。 続いて交差点に差し掛かると、「4差路、谷田50の23の交差点」と読み上げます。 交差点を越えて、さらに進むと、「谷田50の23付近の道路」と読み上げます。 ※ 交差点を越えるたびに次の道路情報を読み上げます。 次の交差点に差し掛かると、「3差路、谷田50の23の交差点」と読み上げます。 ここで目的地に向かって左折します。 しばらく進むと、「静岡県立大学」と施設情報を読み上げます。 このように、探索モードを使用しながら歩行すると、ブリーズは道路や交差点、施設などの情報を自動的に案内します。 交差点情報について説明します。 交差点の位置については、名前のついた道であれば、例えば、明治通りと早稲田通りの交差点、などのように、通りの名前で表現します。 名前のついていない通りについては、交差点の存在する地名で何丁目何番の交差点というように表現します。 交差点は信号や横断歩道がなくても、車の通れる道が左右のいずれかにあれば、交差点と表現します。 「4差路」と言うのは、前方と、右と左に道のある交差点です。 「右3差路」と言うのは、前方と、右に道のある交差点です。 「左3差路」と言うのは、前方と、左に道のある交差点です。 「3差路」と言うのは、右と左に道のある交差点です。 複雑な形状をした交差点の場合、うまく表現できないことがあります。 探索モードで現在位置ボタンを押すと、現在進んでいる方角、住所、次の交差点までの距離を読み上げます。 この現在進んでいる方角は、GPSの位置の差分によるものです。 ブリーズ本体の向きとは関係ありません。 通い慣れた道でも、ブリーズを持って歩くと何か発見があるかも知れません。 7章 ランドマークの登録 ランドマークはブリーズの地図データに登録されていない施設を追加したり、特定の場所に音声メモを付けたりしたい場合に使用します。 登録されたランドマークは、探索モード中に近辺を通過すると読み上げられ、ルート検索の目的地としても使用できます。 ランドマークは実際にその場所へ行って登録を行います。 ランドマークとして名前を付けたい場所で、自分の声で、ボイスメモの要領で名前を付けます。 ランドマーク名として登録できる録音時間は4秒間です。 例えば、自宅の前をランドマークとして登録する場合、自宅前でブリーズを起動し、現在位置を確認できたら現在位置ボタンを押して住所情報を確認します。 自宅の住所と合っていることを確認したらランドマーク登録を行ってください。 1. 記録ボタンを1回短く押すとランドマークを登録できます。 「ランドマークの記録」と読み上げ「ピッ」と1回、音が鳴り録音を開始します。 2. 「自宅前。」など4秒間以内に音声で登録を行ってください。 もう一度記録ボタンを短く押すか、4秒経過すると「ピピッ」と2回、音が鳴り録音を終了します。 8章 ルートの登録と案内 8-1 ルート登録 一度歩いた道をルート情報として登録することができます。 実際に歩いたルートを記録して、再度同じルートを案内したり、記録情報に基づき目的地から出発地へ逆向きに案内したりすることができます。 例えば、同行者と一緒に駅から点字図書館まで歩いたとします。 その際に、駅の出口から点字図書館の入り口までルートを記録すると、次回以降、一人で歩く場合にこのルート案内を使うと便利です。 以下の手順でルートを記録してください。 1. 駅の、出口付近でブリーズを起動して、探索モードにしてください。 2. 記録ボタンを長押しすると、ピッと1回、音が鳴り、「新しいルートを作成するには確定ボタンを押してください。」と読み上げます。 3. 確定ボタンを短く押すと、「ルート名の記録。」と読み上げ、録音開始を知らせる音が、1回「ピッ」と鳴ります。 4. ルート名を録音してください。 ルート名の録音時間は4秒間です。 「駅から点字図書館まで。」など、出発地と目的地がわかる名前にすると便利です。録音が終了すると、「ピピッ」と2回、音が鳴ります。 5. ルート名を録音すると「ルート名が記録されました。歩行を開始してください。」と読み上げルートの記録を開始します。 6. 目的地の点字図書館へ向かって、歩き始めてください。 7. 目的地へのルート上で音声メモを付けたい場合は、ルートの記録中でもランドマーク登録を行うことができます。 例えば「並木道」や「急な階段」、「音声のない信号」など自由に登録してください。 8. 目的地の点字図書館入口に着いたら、再度記録ボタンを長押ししてください。 ルートの記録を終了します。 8-2 登録したルートの案内 今、登録したルートの出発地点にいるとします。 登録したルートを選択して、ルート案内を実行するには、下段右側の選択ボタンを短く押してください。登録したルートリストが読み上げられます。 案内を実行したいルート名を、読み上げたところで確定ボタンを短く押してください。ブリーズは「前方へ案内したい場合は確定ボタンを押してください。」「後方へ案内したい場合は確定ボタンを長押ししてください。」と案内を読み上げます。 前方へのルート案内は、記録した時の出発地から目的地へ、後方へのルート案内は、記録したルートを目的地から出発地へ案内します。 歩き出しの向きが分からない時は、市販されている音声コンパスを併用すると便利です。ルートの登録中だけでなく、保存したルートの案内中でも、記録ボタンを短く押すことによって、ランドマークの登録を行うことができます。 保存したルートの案内中に、上段中央の現在位置ボタンを短く押すと、現在位置、方位などを読み上げます。 保存したルートの案内中に、上段左側の情報ボタンを短く押すと、目的地までの距離などを読み上げます。 交差点が非常に近接している場合、歩行にルート案内が追い付かず、右折、左折、直進の指示が遅れることがあります。何も指示がない場合は、指示があるまで、少し待ってください。 最初はよく知った道で、ルートの記録、保存したルートの案内を行ってください。 以上が最も基本的な使用方法です。 より詳しい操作などは、ユーザマニュアルをご参照ください。 1