<インタビュアー> 本日のインタビューは、株式会社ラビット 代表取締役 荒川明宏様に伺いますが、今回は、有限会社エクストラのチーフデザイナーを務めていただいております静岡県立大学 国際関係学部 石川先生との対談形式で行いたいと思います。 よろしくお願い致します。 <石川> よろしくお願いします。 <荒川> よろしくお願いします。 <インタビュアー> お願い致します。 <インタビュアー> ではさっそく質問に移ります。まず1つめの質問なんですけれども、エンビジョングラスを日常生活の中でどのように使われてらっしゃるのか教えていただけますか? <荒川> そうですね、郵便物…。一番はやっぱり郵便物とかの確認が多いですね。それがもう使い方の7割ぐらいでして、外でも一時期使ってたんですが、最近暑いので、ちょっと外を着けて歩くのがやだなということで、最近は外につけて歩いてはいないんですが、一時期は外でも使ったりはしていました。 <石川> あの私もまぁいろんな使い方してるんですけど、えーと、テレビの画面を見て文字認識させたいことがあります。というのはですね、私は将棋が趣味で。 インタビュアー> えぇ。 <石川> タイトル戦とかアベマテレビを観てるんですけど、 AI が形勢判断をパーセンテージで出してるんですね。例えば50%対50%だと全く互角とか、60%と40%だったら一方が少し優勢とかで、これ、一手一手気になるんです。これをエンビジョングラスを使って観ると、インスタントテキストで教えてくれて、こっちの方が優勢なのかとか、差があったはずなのに差が詰まってきたとかっていうことが分かったりして、非常にこれは面白いし、私にとってはすごく役に立ってます。 <インタビュアー> そうなんですね、ありがとうございます。まず荒川さんに質問をさせていただきたいんですけれども、先ほど郵便物の確認で使われているということだったんですけれども? <荒川> はい。 <インタビュアー> はい。郵便物の宛名などを確認する際に使われてるのかなと思ったんですけれども。 <荒川> そうですね。まぁ宛名ってよりはですね、中身というかですね、どの郵便物かっていうのはもう全部妻のほうが仕分けしてくれるので、まぁそれを今までは全部読んでもらったんですが、 せっかくエンビジョングラスもあるので、私もやっぱりちゃんと自立をしようと思ってですね、自分でちゃんと内容を確認してですね、必要なものはこう、点字をつけるとかですね。そういうふうにする…今まではこう、人任せだったものがですね、自分でちゃんとやるようになったっていうのがですね、このエンビジョングラスを持って、自分の中でやっぱりすごく良かったなという風に、はい。 <石川> 私いろんな薬があるんですけど、そのうちなんだか分かんなくなって、間違った薬を飲まないよう。 <インタビュアー> えぇ! <石川> 正しい薬を飲みたいとか、チューブの薬とかもそうなんですけど、まぁ分かんなくなったりするので、そうしたときに使って、識別したりするのはすごく便利だなと思いますね。あと箱、同じパッケージで中身が違うものって結構あったりするので、そういったものを確認するとかしてます。 <石川> 自分で色々その、そういったことができるようになると、まぁ自立ってこともあるんですけど、楽しいっていうか、自由がきくわけですよ。いちいち「これなぁに」「あれなぁに」って聞いてると、なんて言うんですかね、自分のペースで進めていけなくて。様子を確認しながら、今は聞いていいときとかね、今忙しそうだからちょっと待とうとかっていう風にね、なんですけど。私はあの、せっかちなもので自分のペースでいろいろやっていきたいなと。荒川さんもどっちかというとせっかち組じゃないですか? <荒川> そうですね。あの本当にこう、自分でなんでもできるっての面白いなって思いました。つい最近使ってて、こんな使い方もあるのかっていうのは自分で思ったんですよ。三菱 UFJ銀行のiPhoneでのインターネットバンキングなんですけど、最終の確認画面を、実は画像になってて読まないんですね。で今までそれを…何て言うんでしたっけ、写真撮るやつiPhoneの。えっと、キャプチャー… <石川> あ、キャプチャーね。 <荒川> キャプチャーして、それをOCRで読ませて <石川> あー。 <荒川> それでまぁ確認するか、もうそもそも自分は入力間違いしないんだからってそのまま振込かけてたんですけど。 <荒川> そうだ、エンビジョングラス持ってるんだから、 画面見て確認すればいいじゃないかと思ってですね。 <石川> そうねー。 <荒川> 気が付いちゃったらパッと思うんですよね。 <石川> ゼロで一つ違ってたらえらいことに。 <荒川> えぇ、なのでやっぱりこう、どうしても必要な時につけるという癖があるんですけど、そうじゃなくて、そもそも目なんだから、常につけて、かけておくっていうところを意識すると、もっともっとやっぱりこのエンビジョングラスっていうのは便利なんだなって自分で実感してます。 <インタビュアー> ありがとうございます。 <インタビュアー> では、2つ目の質問に移らせていただきます。エンビジョングラスを使われていて、気に入っている点などございましたら教えていただけますか? <荒川> インスタントテキストですね。シャッター切らなくても、とりあえず適当になんでも読んでくれるというのがですね、非常に面白くてですね。電車の広告とかですね、暇な時に読ましたりとかですね 。あのー本当に面白いなと思います。 <石川> 店の看板とかそういうのもインスタントテキストで結構読んでくれるので、今はそんなに街は歩かないですけど、外歩いている時に、その…めがねをかけて歩いているだけで。 <インタビュアー> はい。 <石川> どんな店が、あっこんな店があったのかとか、こういう店があったとか、いろんなお店の看板でわかったりするのもまぁすごくいいですね。 <インタビュアー> 外でエンビジョングラスを使われる際には、だいたいインスタントテキストにされてるんですかね? <石川> そうですよね。 <荒川> そうですね。インスタントテキストだと本当に面白いです。 <石川> まぁ色々とそのゴミというか、よく意味不明なことを言ったりもしますけれど。 <インタビュアー> えぇ。 <石川> その中に本当に重要な情報もあったりして。 <インタビュアー> ちなみにそれってこう…どのような情報だったんですか?あの、教えていただけるものだったらそれで結構なんですけれど。 <石川> カメラ屋さんだったりとか。 <インタビュアー> えぇ <石川> 食べ物屋さんとか、こんなところに焼き鳥の店が、とか。なんか、えーっと、カラオケボックスだとか。カラオケボックスは音で分かるかな。 <石川> まぁでもそんなようにね、焼き鳥屋も匂いで分かるっていう説もありますが、まあとにかくいろんな発見があって楽しい。 <荒川> それでやっぱりそう、あの、私は最近妻と歩くことが多いんですけど、情報を聞くと、「あ、今こっちにこんなのあるの?」なんてすると、そこで自分から会話が仕掛けられるってのが面白いなと。でも実はそれはものすごく遠くて「自分(妻)には見えないんだけど」みたいなですね。 <インタビュアー> あー <荒川> うちの弱視なんでね、「えーそんな遠くのものが見えちゃうの」みたいなですね。まぁ本当にあの、面白いなぁって。 <石川> なんていうか一種のストリートビューみたいなものが、まあ部分的にせよね、限界はあるにせよ、こう…アクセスできるっていうのは楽しいですね。 <石川> 今までほんとに、一つ一つの通りが持ってる特徴って何もなくて、車が多い通りか少ない通りかとかね、まぁそんなことしかわからなかったのが、この通りにはこういう店があるとか、こちらの通りにはこういう施設があるとかっていうことが分かるだけでも。 <インタビュアー> はい。 <石川> 外を歩いていて、なんかこう、具体的なその…具体性の中にいるって言ったらいいですかね、そういう感じがいいですね。 <石川> あとそれでその、スマホかざしながら歩くわけじゃなくて、メガネでハンズフリーなので。 <インタビュアー> はい。 <石川> 負担感がないという安全だし、というのがいいと思います。 <インタビュアー> ありがとうございます。 <インタビュアー> では3つ目の質問に移ります。エンビジョングラスを使い始めたときに、操作方法等を覚えるのは難しかったですか?どうでしょうか。 <荒川> これは非常に簡単で、すごく易しいなと思いました。私まぁあの、他のいろんな機種も使ってたんですが、それより使い易いなっていうふうに。 <石川> 覚えやすいと思いますね。直感的に、すぐに使えるようになる。あんまりマニュアルとか読むって必要はないんじゃないですかね。 <インタビュアー> 特に説明書が必要になった場面というのもあまりないですかね? <石川> そうですね。ほかの人に <荒川> ないです。 <石川> 教えてもらわないと分からないとか、そういうこともないし。 <荒川> まぁちょっとあの、たまにWi-FiとかBluetoothの機器を接続するにですね、メッセージがどこに飛んでくるんだろう、みたいな感じでちょっとこう、うまく行かなかったりてこずったりしたことはありましたけどね。まぁそれぐらいですね。 <インタビュアー> 分かりました、ありがとうございます。 <インタビュアー> えっと、4つ目の質問なんですが、今後のエンビジョングラスに期待することは何かございましたら教えていただけますか? <荒川> えーと、そうですね…、オフラインモードで多少認識が落ちても読めると、ちょっと読めるといいかなっていうのは思います。 <荒川> それとこれはあの、メーカーの方とのミーティングのときにも言ったんですけど、私はその、えーとスキャン…何でしたっけ、スキャンでしたっけ。 <石川> スキャンテキスト。 <荒川> スキャンテキストですね。このスキャンテキストが、こうなんか、パッパッパとやれないのがちょっと面倒くさいなというふうに思ってしまいますね。 <石川> 連続スキャンですか。 <荒川> えぇ、連続的に、あっこれいらないから次の読まして、これいらないから次の読ましてみたいのができないのが、ちょっと面倒くさいな、というふうに私は個人的に思います。 <石川> 私の方もまぁ、結局この認識技術というのは、ディープラーニングを使って、急速に、年々再々改良されて精度上がってきているので、今後ますます文字認識だとか画像認識の制度が上がっていくことを期待してるし、それはまぁ楽しみにしています。 <石川> あとえーっと、エンビジョングラスの協力者機能っていうのは私結構使ってまして、自分で自由にっていうことの一方で、願いつつもやっぱり、人的サポートの力強さというか、信頼性っていうのがやっぱりあって。それがあの、協力者機能で実現できるっていうのがすごく気に入ってるんですけど、また使ってるんですけど、また一方でその、自分の協力者っていうと、まあ数人登録するぐらいの感じになって。でもちょうど自分が、見てもらいたい時に、その人たちが手が空いてるかどうか分からないと、スマホを持っているか、スマホの側にいるかどうかも分からないので、不特定多数のボランティアによるサポートっていうのがまぁ、Be My Eyesとか色々あるんですけれど。 <インタビュアー> はい。 <石川> そうしたものとの連携ができると、さらにこう、広がるのかなとは思っています。荒川さん、協力者機能どうですか?あんまり使わないですか? <荒川> ええっとね、時々使います。時々使うんですがなかなか…、使うときに出なかったり、 そういう時に限って出なかったりして。 <石川> あぁそう 。 <荒川> なんだと思ってしまうことも。 <石川> あと、真夜中に使いたいとかね、早朝に使いたいとか、自分のライフスタイルめちゃくちゃなので。 <荒川> あーなるほど、それはあるかもしれない。 <石川> そうすると、例えば地球の反対側だったら昼だったりする…、したりすることがあるんですけども、やっぱり同じ国内だとそういかないので。Be My Eyes だと色んなタイムゾーンでボランティアがいたりするので、いいなぁと思っていたりしますけれど。 <荒川> この間私の、今度は私の友達にエンビジョングラス貸し出しするんですが、その友達が治療院とかを経営してるんですけど、 これを使えばこう、ベッドの汚れとかですね。 <石川> あぁ。そういうのをこう自分で見て、掃除とかも出来たり…そうすると。 <荒川> 常にこう、事務所に、治療院に健常者を置いておかなくても、ある程度自力でできるんじゃないかと。そうすると、何て言うのかな、こう、収入…今まで健常者に丸々払ってた収入を視覚障害者がとれるっていうことで、お客さんが減ってる中ではとっても重要なんじゃないかっていう話を聞いてですね、 なるほどなってちょっとびっくりしたんですけど。 <石川> まぁとにかく、あと拡張性があるというのもやっぱりあの、非常に先に期待が持てるというところがあって。最近で言えば光センサーとか、紙幣の識別とかの機能もついて、またちょっと良くなってきているので、今後さらにそういった機能の拡張っていうことも期待できるんじゃないかなと思います。 <荒川> 本当にあの外で使いやすい。あの…iPhoneとかカメラかざすわけじゃないから、外で気にしないで使えるって言うの本当にいいなって思いますね。 <石川> そうですね。スマホかざすとやっぱり、ちょっとやっぱりあの、外でプライバシーとかそういったようなことに気を使わないといけないんですけど。その点はまぁいいかなと思いますね。 <石川> あとスタイリッシュであるという、やっぱりエンビジョングラスの売りの1つという。かけてて近未来的でいいんじゃないかなと思います。 <荒川> あと他のとの比較ですけど、他のだと磁石でくっついてるから落としたらどうしようと思ってしまいまして。やっぱりそういう、値段するものなんでね、そういう心配がないっていうのも、私使ってていいなって思いますね。 <石川> 柳本さん(インタビュアー)はこの。 <インタビュアー> はい。 <石川> これグーグルグラスのエンタープライズエディションっていうのを使っているんですけど、ハードウェアとして。 <インタビュアー> はい。 <石川> 近未来的な感じっていうのはしますかやっぱり。 <インタビュアー> しました。私もこれをつけてこう、外を。 <石川> 歩きたいなって? <インタビュアー> 実際に歩いてきたんですけど。 <石川> あぁそうなんだ。 <インタビュアー> はい。そうですね、なんかこう自分が一歩進んだ人間になったような… <石川> ぜひボーナスで買ってください、社員割引きで。 <インタビュアー> あ、そうなんですね、考えておきます。ありがとうございます。 <石川> 前向きに考えてください。 <インタビュアー> はい。 <インタビュアー> では、4つの質問をさせていただいたんですけれども、今回の対談は以上となります。石川先生、荒川様、ご協力いただきありがとうございました。 <石川> はい。荒川さん、ありがとうございました。 <荒川> ありがとうございました。 <石川> はい、とても参考になる話をありがとうございました。